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北山幼稚園 (教育施設)

東京都府中市の閑静な住宅街に建つ「北山幼稚園」は、教室という枠にとらわれない、オープンな教育を実践している幼稚園です。

この計画は、バルセロナ在住でガウディ研究をおこなっている建築家田中裕也氏がコンセプト・基本デザインを担当し、私どもが基本設計、実施設計を担当しました。

北山幼稚園では、従来から可動間仕切りを巧みに利用したフレキシブルな空間で教育が行われており、建替えにあたり、より理想の教育を実践する場として、よりオープンで、かつ、安全、安心感のある教育空間をめざすことになりました。それは子供たちの自主性を生かし、集団生活の営みの中で自然にルールや道徳を学び、生きていく力を育んでいけるような空間であり、子供たちが複数の教員に見守られる大きな空間でありながらも、子供たちが自分の居場所を発見できる多様な場を持つ教育空間です。


音楽大学を卒業した園長先生の希望で、1階はヨーロッパの伝統的な劇場のように、高揚感に溢れた劇場として、舞台には「王者の階段」と呼ぶ舞台装置にもなる階段を設けました。園児は階段をおりながら、劇の主役のように未来の自分を演じ、夢を膨らませることができるのです。
建物は、北側に大きな園庭をつくるように、楕円と円を包括するような音符に似た外形を持つ形としました。


私は学生時代、バルセロナで田中氏の元、ガウディの建築の実測調査のお手伝いをさせていただいたことがあり、2人にはガウディという共通の価値観がありました。今回、北山幼稚園の計画においてもガウディ的な美しさを求めることになりました。
田中氏はこの幼稚園の設計にあたり、「卵」というコンセプトをもって構想をまとめました。
ガウディが逆さ吊り実験等を通して、自然の中に潜むカテナリー曲線や放物曲線等の幾何学的な美しさを見いだし、建築に応用したように、私はこの設計で卵の形の幾何学に注目をし、それを中心に設計をまとめました。


卵の形は、指数が緩やかに変化するスーパー楕円で表現し、その他、屋根は波動曲線、庇は放物線を用いることにして、その数式による形を建築に適応できるように、CADと連携したアプリケーションを組みました。
そのアプリケーションから3Dデータを出力し、パースや3Dモデリングマシンによるデザイン検討を行い、また、構造計算の元になる座標データや面積チェックを行えるようにしました。
















それは、スケッチによる人為的なラインをなぞるのではなく、幾何学を用いてパラメトリックな方法で、構造、機能、意匠が一体をなす建築として組み立てていく手法の模索です。

パラメトリックな設計手法は以前から実践していた方法であり、私が勤めていた内井昭蔵先生の元で試みた設計手法の延長として、今回は鉄骨用にまとめました。
































3. 構造
構造は計画の早い段階から田中輝明建築研究所と打ち合わせをしながら進め、法的に高さを抑えられた中で大きな空間をもつことと、2階床スラブは吹き抜けを持った片持ちスラブで構成することから主体構造はS造とし、卵型の階段はRC造としました。
「エキスパンションを設けることが、必ずしも構造的に良いことではない。」との故田中輝明先生の構造理念によりS造の本体部分と階段のコンクリート部は連続した構造としました。


楕円の平面部分は、外側と内側に2重の柱を配置して、柱を頂点に三角形に分割する方法で梁を架け渡し、アプリケーションで柱割りを求め、波打ったスラブを実現するための3次元座標を求めました。
ウェーブした屋根では外側の柱が谷、内側の柱が頂部を通るように、登り梁を配し、屋根が取りつく外周部の柱頭部は、平面的にも勾配的にも微妙な角度を持つ梁が多数取りつくことになり、ダイヤフラム作成にはとても神経をつかう作業を強いることとなりました。


耐火吹付けを施すことで、天井を貼らざるを得ませんでしたが、組みあがった鉄骨はとても美しく、無理をしてでもコンクリート充填による耐火梁等を考え、構造体を表現できれは良かったと後悔したほどです。
階段室は卵のような断面形を持つ回転体として、CADデータから割り出された3次曲面型枠を用い、型枠は3回転用しました。

4. レンガ

レンガ積みをS造で表現する手法は、以前に花ブロック(沖縄産で約400×400×100のモジュールの壁用のコンクリートブロック)で5.4mの高さの壁をつくったディテールを発展させ、高さ方向に700~800おきに鉄骨のアングルでレンガを支え、かつ、鉄筋をアングルのフランジ部分に通すことで、鉄骨とレンガの構造的な一体化をはかりました。

S造+組積みの場合はレンガ壁厚を薄くできるため、施工コストや重量面で有利であり、また、曲面壁を積む場合には鉄骨が定規となり、正確な壁をつくれることは大きな利点と言えます。


特に12mのスパン開口部では、平面的に楕円の上に立面的にアーチとなっており、3次元的にねじれたアーチ状鉄骨の定規が果たした役割はとても大きいです。
レンガは、スペイン・アンダルシアのMalpensa社で制作しました。Malpensa社はスペインを代表するレンガメーカーで、今回使用する約5万個のレンガをわずか2日間で焼き上げました。
輸出入はMalpensa社と私どもの会社が直接行い、輸送は期日通りに進み、輸送中の壊れ等は数個程度におさまりました。
今回は11種類のレンガを用い、そのうち、8種類は鉄筋用の穴や、デザイン的なR面を持つオリジナルの特注レンガです。
まぐさ部分は、台形の窪みに楔型ステンレス金物を差し込み鉄骨アングルに直接吊りました。この方法は確実にレンガを吊ることができ、地震時の変形の際も安心です。
スペインのバルセロナを中心としたカタロニア地方には、カタロニアヴォールトと呼ぶ浅いヴォールト状のスラブを作る伝統的な工法があり、計画初期の段階で螺旋階段やスラブ等でレンガで組み上げ、それを型枠としてコンクリートを打設することを計画しましたが、残念ながら実現には至りませんでした。

レンガは地震の影響もあり、日本ではそれほど発達しませんでしたが、今回の鉄骨とレンガの組み合わせにより、カーテンウォールでは得ることの出来ない奥行きのある表情とすることが出来ました。
また、この建物の設計を通して、有機的な形態でS造+レンガ壁の可能性が広がったのではないかと思います。
今後、レンガ断面をさらに工夫し、金物とレンガを組みあわせ、地震時の鉄骨の変形に柔軟に追随するディテール等、新たな模索をしていきたいと思います。



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