バンドばか話


■ バンドばか話 26: < おじぎ >信頼度B

先輩から聞いた昔の話です。
キャバレーのバンドに新しいBassの人が来ました。キャバレーとかダンスホール、通称ハコと呼ばれる仕事では電話帳ぐらいある大量の譜面を初見でいきなり本番、次から次へと演奏し続けます。けっこう技術と経験が要求されるわりに給料は安いし立場も弱い仕事です。

それはともかく、Bassの新人は一生懸命慣れない譜面を演奏し続けました。
すると譜面にときどき「おじぎ」と鉛筆で書き込みがある。バンドの様子も分からないし、みんなで挨拶する決まりなのかと思って演奏しながらおじぎをしてみます。誰も何も言わないからこれでいいんだろうと思いその場はそれですみました。

何日かたつと譜面にも慣れてきて、演奏しながら周りの様子を見てみます。すると自分がおじぎをしているときに他のメンバーは誰もおじぎなんかしていない!なんだ、新人だからからかわれたのか。本番中一人で何度もおじぎをさせられてカッコ悪かったなー、と悔しがるベーシスト。

次の日、もうだまされないぞと気合いを入れてステージに上がります。そしていよいよ「おじぎ」と書いてあるところにきました。もちろんもうおじぎなんかしません。
すると後ろからトロンボーンのスライドで後頭部を思い切り突っつかれてしまいました。ステージがすっごく狭かったんですねー。でベースのすぐ後ろがTbの席だったと。たぶん譜面に「おじぎ」と書いてあったところはTbの7番ポジションの音がでてくるんでしょう。セッティングを変えるわけにもいかず、仕方なくベースの譜面に書き込んで対処してたんでした。

ベーシストも痛かったですが、Tbの人もびっくりしたでしょうね。最初からきちんとおじぎをしてくれる器用なベースだなと安心してたらある日突然おじぎを止めちゃうんですから。痛い思いをした上に「何すんだよ!」と文句を言われた新人ベーシスト。
是非その場で見てみたかったです。


  1. <<前話へ
  2. 次話へ>>
  3. バンドばか話 Top
  4. サイトのトップへ