バンドばか話


■ バンドばか話 46: < 容器リサイクル >信頼度B

チューバ奏者のI君は安定した演奏と知識(とトボケた人柄)で、デキシー業界では重要な存在。そんな彼の昔の話です。

豪華客船のクルーズで演奏する仕事がありました。主な仕事は船内のレストランやラウンジでの演奏。たまにミニコンサート。船酔いはちょっと心配だけど、1週間から10日の旅の道中、仕事以外は自由時間も多いし、お客と同じクラスの部屋と食事ですからなかなかリッチな楽しい仕事です。

この仕事の最初の出番は出航時。タラップが外されたデッキでデキシージャズを演奏しながら、周りのお客と出航を祝います。I君得意の場面です。
最初の曲が始まると、I君は満面の笑みで手拍子。お客さんにも手拍子をうながし、一生懸命盛り上げます。曲はそのまま終了。
さて、次の曲はいよいよチューバ活躍かと思ったら、I君はまたまた手拍子。

いくら何でもこれはおかしい。何で楽器吹かないの?

実は吹けない事情があったんです。こともあろうにI君チューバのマウスピースを忘れてきちゃったんです。

船室にじゃありません、家に!

えらいことになりました。海の上だから取りに帰れないし。その場は何とかごまかしても、長い道中ずっと手拍子というわけにはいきません。
何とかしないと。とはいってもどうしたら良いんだろう。

苦心の末、I君がとった対策はちょっとすごいです。ヤクルトジョアってありますよね。あれの空き容器の大きさがマウスピースと大体同じなのを発見。底をくり抜いてリムを作り、飲み口をガムテープで楽器に固定。冗談みたいだけど、いちおうこれで何とか演奏できたんだそうです。

ただし、さすがはジョア。切り取ったリムの断面が薄くてするどいので、吹くときには口がかなり痛い!仕事を終えて船を下りる頃には、I君の口の周りは擦り傷だらけになってしまったそうです。




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