内田光昭 公開秘密基地(なんでやねん)

Jazz & Trombone 猫の巻


■ 猫の巻乃19:直感勝負だ

俺の従兄弟に彫刻家がいます。業界(って言うのか?)では有名な芸術家団体の会員でけっこうえらいらしい。それでも儲かってる様子はないので、あの業界も生活はかなり大変みたいです。
今ではお互い忙しくなっちゃってめったに会ったり飲んだりできなくなっちゃったけど、若い頃はしょっちゅう朝まで飲んで、青臭い芸術論なんかを吹きまくっていました。

あるときその従兄弟が
「普通の人ももっと美術に接しないといけない、これには作る側の責任が大きいが、一般の人達も逃げ腰にならずに気軽に見たり触ったりして欲しい」
と言ったとき、「俺も美術はよく分かんないからなー」と返すと従兄弟は激怒して、「ミュージシャンの君でさえそんなことを言うのか!分かる分からないと言ってるから腰が引けちゃうんだ。素人だからこそ好きだ嫌いだと勝手なことを言えば良いじゃないか」と一喝。これには参っちゃってひたすら謝りました。
だって音楽については俺だって彼と同じようなこと言ってるんだもん。人のことばっかり言って、まだまだ修行が足りません。

毎日努力してるプロでも他のミュージシャンのことがよく分かってるわけじゃありません。まして一般の人が創作者の苦労が分かるはずもないし、分かる必要もないと思います。たとえマイルスの名盤だって嫌いな物は嫌い。これには誰も文句は言えません。何も知らない子供のほうがこういうことは得意ですね。
我々も肩書きなどにビビらず、思い切りわがままに音楽を聞きまくりましょう。
そのほうが楽しいに決まってるし、ホントに好きな音楽に出会う近道になるはずです。


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