内田光昭 公開秘密基地(なんでやねん)

Jazz & Trombone 猫の巻


■ 猫の巻乃22:味は舌先で

トロンボーンの教則本には、タンギングは「Tatata」とか「Tututu」というように指示してあることが多いですね。そのせいもあってか、アマチュアの人達にはかなり強いタンギングを日常的に使っている人が多いようですが、これだといくつか問題があるようです。ちょっと検証してみましょう。

タンギングには音のニュアンス、形を整えるという大事な役目があります。
Tu、Du、Luなどを使い分けることで、アクセントの強弱や表情を変えることができるわけです。Luより弱い、というかタンギングしないFuというのもあります。

実はこれらの中でTuだけが他と大きく違う特徴を持っています。
それはTuの舌の動きのときだけ、口の中の空気を外と完全に遮断できるということです。それによりTuのタンギングは空気の強い破裂を作り出すことができます。

ラッパを吹くための空気は腹筋を使って押し出すわけですが、ジャストなタイミングで鋭い息を吹き出すのはなかなか難しい。上達するまではどうしても息が遅れたり後から膨らんだりしてしまい、音がうまく出せません。そこで音を出すときに舌を使って空気を破裂させれば、とりあえず音は安全に出てくれます。
アマチュアの人にDuでタンギングしましょうと言ってもなかなかできないときには、たいていこういった演奏上の障害も含まれているんです。

トロンボーンでジャズを、特にモダンジャズを演奏するときには、Tuのタンギングだけでは強すぎることが多いし、表情もあまりつけられません。レガートもきかないし、ちょっと幼稚な感じに聞こえてしまいます。

ここはひとつ頑張ってDuの強さのタンギングを標準装備にすることを目指しましょう。普通の音符はDuDaDuDa~♪と演奏し、特別強いアクセントはTuにしてもよし、ソフトなメロディーはLu-Lu-Lu~♪と吹けばぐっとなめらかになり、音楽が格段にカラフルになります。

この場合、当然息のかたちが重要になってきます。そこで、タンギングをせずに息だけでFu--とロングトーンをする練習をしてみましょう。最初は難しくても、しっかり唇を閉じて圧力のある息を出し続ければだんだんできるようになります。慣れないうちは、息を吹き込みながら音が出てくるのを待つ感じで良いと思います。
慣れてきたら同じくタンギングなしでFuッFuッFu-- というふうに短い音でタイミングをとる練習をします。これができるようになれば音はタンギングなしでも出るわけですから、タンギングの強弱は自由自在。

音楽の微妙な味付けを、舌の動きで楽しんでみませんか。


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