内田光昭 公開秘密基地(なんでやねん)

Jazz & Trombone 猫の巻


■ 猫の巻乃9:リードと1stの違い

オーケストラで1番上のパートは普通1stと呼びますが、ビッグバンドではリードと言います。トロンボーンならリードトロンボーン。この違いは何でしょうか。

オーケストラでも1stに技術と経験にすぐれた人が座るのはバンドと同じですが、音楽の内容についての決定権は原則として全て指揮者にあるので、1stの人も3rdの人も指揮者の指示に従ってそれぞれのパートを一生懸命演奏します。問題がおきても対処には指揮者の指示を仰ぐことになります。

それに対してビッグバンドの場合は各セクションにある程度の自治権があるのが一般的です。もちろんバンドによって度合いは異なるでしょうが、指揮者=とは普通言わずリーダー、又はバンマスと言いますが=このバンマスは全体の構成や曲想に指示を出しながらまとめていく役割って感じ。ひとつひとつの音の大小や長さまでバンマスが細かく決めるということはあまりないようで、セクションのリードプレイヤーの判断や、各セクションのリード同士の相談で多くのことが決まります。

さらに実際の演奏中でもバンドのノリや盛り上がり具合などで状況が変わるとリードの判断でキメ事をとっさに変える場合があり、リード以外のサイドプレイヤーはそれに素早く反応してリードに「付ける」ことが要求されます。これらのことから1stやトップと呼ばずにセクションリーダー=リードと呼ぶことが多いんですね。

高度に訓練されたセクションはよくピアニストの手に例えられます。右手がコードを叩くとき、その瞬間瞬間でそれぞれの指の強さやタイミングが絶妙にコントロールされている。それに近いぐらいメンバー同士の息が合っているというわけです。

たまに演奏中、突然リードが練習と違う表現をしたのに、サイドも同じ気分で全員ピッタリ同じ演奏ができることがありますが、めちゃくちゃ気持ちよくて思わずニヤッとしてしまいます。これこそビッグバンドの醍醐味ですよ。
もちろんかなりの練習(と飲み会?)が必要なのは言うまでもありませんが。

  1. <<前巻へ
  2. 次巻へ>>
  3. 猫の巻topへ
  4. サイトのトップへ