ひき逃げ遺族の会                   

















新聞の報道から
 

遺族の会設立の動機



娘の悲劇繰り返させないひき逃げ遺族の会
韮崎の夫妻が設立  「撲滅が使命」法改正要請へ 

     2002年にひき逃げ事件で亡くなった大野睦実さんの遺影
  父隆義さんは、「ひき逃げをなくすことが自分たちの使命だ」と話す


「悪質なひき逃げ事件をなくしたい」--。10年余り前に茨城県内で起きたひき逃げ事件で小学5年の長女を亡くした山梨県内の会社員大野隆義さん(48)と妻玲子さん(52)が「ひき逃げ遺族の会」を立ち上げた。

大野さん夫妻は悲惨な事故をなくそうと「全国交通事故遺族の会」で活動していたが、同会が解散したのをきっかけに新たな団体を設立。ひき逃げ撲滅と「逃げ得」を許さないため、刑法で新しい罪を設けるなどの法改正を求めていくという。隆義さんは「悲劇を繰り返さないため、遺族が声を上げなくては変わらない」と訴えている。

「命の重みと、運転することの責任を理解してほしい」。玲子さんはこれまで、道志中や峡南高など県内の中学や高校を訪れ、講演でひき逃げの根絶を訴えてきた。玲子さんは「ドライバーに思い遣りがあれば事故は防げる。子供たちの命を守るため、社会の仕組み、意識が変わるまで訴え続ける」と話す。

大野さん夫婦は水戸市に住んでいた2002年11月25日、ひき逃げ事件で長女睦実(むつみ)さん=当時(10)=を亡くした。その日の朝、睦実さんは自宅から小学校に向かう途中、青信号の横断歩道を渡っていたところ、交差点を左折してきた10トントラックにひかれた。トラックを運転していた男は業務上過失致死と道交法違反(ひき逃げ)の罪を問われ、検察は裁判で懲役4年を求刑。結局、男には懲役3年の判決が言い渡された。

大野さんは事故後、「全国交通事故遺族の会」に加わり、事故防止ワーキンググループでロビー活動などを展開し、ドライブレコーダーの導入推進や最高速度を30キロ以下に規制する「ゾーン30」の整備に力を尽くした。だが同会は昨年11月、会員数や死亡事故数の減少を理由に解散した。「会は解散しても、ひき逃げをなくす目的を達成するまで、まだ活動をやめるわけにはいかない」(隆義さん)と、新たな組織を設立。

新しい団体はひき逃げ撲滅を目的とし、現在は県内外の11人が会員となっている。隆義さんは「逃げたら大きな罰を受けるという意識をドライバーに植え付ける仕組み作りが必要」と訴える。

ひき逃げ事件は現在、道交法が適用されているが、隆義さんは「ひき逃げは殺人と同じ。刑法で裁かれるよう、新しい罪を設けるべきだ」と強調する。今後は関係省庁に法改正を訴えるなどの活動を展開していく考えだ。

大野さん夫婦は事故後の10年、隆義さんの転勤をきっかけに山梨県内に転居。事故当時に小学生だった睦実さんの妹は今春、県外の大学に進学した。時間が過ぎても場所が変わっても、娘を失ったかなしさはなくならない。

睦実さんは2月12日で、21回目の誕生日を迎えるはずだった。「娘の無念を考えると、ひき逃げをなくすことが私の使命」。玲子さんは自らに言い聞かせるように語った。


                                           2013/04/14 06:24 【山梨日日新聞】



  



                                                         ひき逃げ遺族の会