日本バプテスト連盟  姪浜キリスト教会

2015年1月18日の礼拝メッセージから

「選ばれた弟子たち」

マタイによる福音書 10章1〜4節 


 私が西南神学部で学んでいた頃、大学のチャペルでメッセージをしに来てくださった岸義弘先生という方が、メッセージの冒頭でこんなことをおっしゃっていました。「世界で最も強い建造物は何か、皆さん、御存知ですか」。先生曰く、日本の城の石垣だということでした。日本の城の石垣というのは、大変頑丈で、地震などが起こってもほとんど崩れないそうです。それは何故かというと、積まれている石の一つ一つが全て違う形だからです。互いに形の違う石が複雑に組み合わされているおかげで、いざ地震がやって来ても、力が分散されてしまい、崩れることがなく、逆にその揺さぶりによって、互いが益々頑丈に組み合わされていくのです。これに対して、地震などに案外、弱い建造物は何かというと、レンガでできた建造物だそうです。レンガは、城壁とは全く逆で、詰まれている一つ一つのレンガが、全て同じ形でできているゆえに、組み立てるのは簡単なのですが、地震などにおいては、簡単に崩れてしまうのだそうです。このことは、建物のことだけではなく、人同士の集まりでも同じことが言えるかも知れません。似たような人たちが集まっている集まり・・・。それは、レンガのような集まりと言えるかも知れません。これに対して、それぞれ異なる人たちが集まっている集まりというのは、石垣のような集まりと言えるかも知れません。レンガのような集まりは、ある意味、問題なく関係が築けたり、居心地がいいのかも知れませんが、レンガの構造物がもろさを抱えているように、そのような人との関係だけを築く時、その人はもろさを抱えているのかも知れません。また、石垣のような集まりは築くのが大変かも知れませんが、それがしっかりと建て上げられていくならば、確かな関係になるのではないでしょうか。本日の箇所を読みながら、そんな「石垣の関係」の話を思いました。本日の箇所にはイエス様が十二人の弟子たちを選ばれたという記述が記されています。この十二人は、本当にバラエティに富んだ人たちでした。まさに大きさも形も違う石のような人々でした。そのことを思う時、イエス様がこの十二人を選ばれた様子に、岸先生がおっしゃられた「石垣の集まり」のメッセージが重なってくるように思えるのです。
 十二人の弟子たちが一緒に歩んでいく中で、色々なことがあったのだと思います。聖書を読みますと、弟子たちが中々一つになれない様子が書かれています。イエス様が十字架にかかる直前まで、彼らは自分たちのことばかり考えて、誰が一番偉いのかと競いあっていました。その他、色々な箇所から、弟子たちが一つになれない様子をうかがうことができます。そんな弟子たちが互いの関係を築くという時、試行錯誤の連続で、中々上手に積み上げることができなかったのだと思います。それは石垣を積み上げていくような状況だったのかも知れません。しかしやがて、この十二人の弟子たちが教会の基となっていったのでした。私たちが教会を築くという時にも色々な経験をすることがあるかも知れません。互いにかみ合わなかったり、違っていたり、相手のことで悩んでいることがあるかも知れません。でも、そのような中から教会は建てられていくのだということを覚えていたいと思います。悪霊にとりつかれていた人は、周りの人が手におえないほど暴れていたと書かれています。何で暴れていたのでしょうか。苦しかったからではないでしょうか。自分を見失い、信じるものが分からなくなり、言いようもない孤独を抱えている…。それゆえ、もがき苦しみながら、自分を傷つけたり、人を傷つけたりしながら、暴れていたのではないかと思うのです。

 そんなふうに読んでいく時、私は、この悪霊に取りつかれた人が、私たちと関わりのない人だとは思えないのです。私たちも時に、この人と同じような迷いだったり、苦しみを抱えていることがあるのではないでしょうか。ここで一つ確認したいことがあります。自分を見失い、人と交わることができなかったり、孤独を抱えている人が、「すなわち、悪霊に取りつかれている人だ」ということを言いたいのではありません。そういうことではなくて、私たちがもし、本日の箇所に記されている悪霊に取りつかれている人の苦しみに共感し、この人の痛みや悩みが自分にも分かると思うなら、そんな私たちにイエス様は出会ってくださり、そのような苦しみから解放し、救ってくださるのだということを覚えていたいと思うのです。
                          (鈴木 牧人)
 
                

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