日本バプテスト連盟  姪浜キリスト教会

2015年3月8日の礼拝メッセージから

笛の音を聞きながら

マタイによる福音書11章15〜19節 
 

阪神淡路大震災を経験された加藤誠先生が以前、このようなことをおっしゃっていました。

「震災というのは、私たちの日常の問題が明らかになるところだ。日常の様々な問題が、震災という『危機の時』を通して、浮き彫りにされていく。そういうところなんだ」。

加藤先生は、実際に神戸教会牧師として震災を経験されながら、これまで連盟が関わってきたホームレスの問題だったり、在日や外国籍の方々の問題だったり、障がいを抱えた方々の問題だったりが、震災において、改めて、切実な課題として突き付けられたんだということを話してくださいました。加藤先生の話を聞きながら、東日本大震災でもそうだなと思ったことを覚えています。私も福島で東日本大震災を経験しましたが、東日本大震災でもホームレスの問題や、在日や外国籍の方々の問題、障がいを抱えた方々の問題が突き付けられました。そういうことに加えて、たとえば高齢化の問題だったり、地域の過疎化の問題というのも、深刻な課題として、津波被害地では突き付けられています。そして、何と言っても、原子力発電所の問題が、今回の震災を通して、突き付けられたのです。こういう問題というのは、何も東北地方だけが抱えている問題ではありません。日本中、どこにでもある問題なのです。しかし、問題としてあったとしても、どこか私たちの中でうやむやになっていること、誤魔化されていること、問題意識を余りもっていなかったこと・・・。でも、実は私たちの知らないところで、どんどん深刻な状況になりつつあること・・・。そういう問題だったりするのではないでしょうか。震災の現場では、そういう問題が否応なしに浮き彫りになるのです。そして、もしかしたら、震災を経験しなければ分からなかったかも知れないですし、ずっと問題をうやむやにしてしまっていたかも知れない・・・。そういう問題と向き合わされていくのです。ですから、「震災を知る」ということは、「私たち自身の問題を知る」ということなのだと思います。そこで何が問われているのか、何が問題として浮き彫りになっているのか…。私たちは被災地の方々の声を聞き取っていくことを通して、自分たち自身の問題や、しなければならないことがはっきりしていくのです。そう言った意味で、私たちが東北の被災地からの笛の音を聞き、それを受け止める・・・。それは、東北の被災地の方々が大変だ、可哀想、そういうことだけでなく、私たち自身のためでもある・・・。私たちが私たち自身の課題を見、問題と向き合い、将来を建て上げていく意味で、聞いていかなければならない声がこの笛の音色にはあるのだということを覚えていたいと思います。

聞く耳のある者は聞きなさい。このイエス様の言葉を今、改めて受け止めながら、笛の音色を聞く者、被災地の方々の声を聞く者とされていきたいと思います。笛の音色を聞き、共に泣き、共に喜ぶ・・・。私たちは、そのことの先に、優しさを学び、思いやりを学び、愛を学び、同時に今の時代に問われている様々な問題の本質を学び、その先に本当に意味で切り拓いていくことのできる本当の希望の道とは何かを学ぶことができるのです。そのことを覚えて、聞く者とされていきたいと思います。

                         (鈴木 牧人)
 
                

       (TOPに戻る)

Copyright (C) 2001-2007 Meinohama Baptist Church. All Rights Reserved.