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自転車事故の裁判例とその過失割合判断、高校生による自転車対歩行者の事故の高額賠償裁判例や未成年加害者である中学生の親の指導・監督責任を認めた判例、自転車同士の衝突事故で加害者側弁護士が「被害者側の過失」の主張・立証に失敗した例等、ピックアップして紹介・説明しています。

ページ内容

  1. 自転車対歩行者の事故の高額賠償裁判例
  2. 高校生による自転車事故の高額賠償例
  3. 中学生加害者の親の指導・監督責任を認めた判例
  4. 自転車同士の事故:被害者の過失の主張・立証に失敗した例

自転車対歩行者の事故の高額賠償裁判例

● 平成10年大阪地裁判決

68歳老女が歩道上で信号待ちをしていたところ、17歳未成年の自転車が前方不注視で衝突し、老女が転倒して大腿骨を骨折、後遺障害8級の障害を残した事例。

老女の損害として、約1,800万円を認容。
このうち、逸失利益は、就労可能年数を約7年として中間利息を控除、約700万円。

なお、裁判所は未成年者の両親の責任を否定しました。

● 平成14年の名古屋地裁判決

白線内を歩行中の老女が電柱を避けて車道に出た際、無灯火で対向進行してきた14歳中学生の自転車と衝突したケースで、老女が頭部外傷による後遺障害2級の障害を残した事例。

老女は、中学生の両親の監督責任を追及しましたが、裁判所は加害中学生の責任を肯定するも、中学生に事故歴などなく普段も問題行動などなかったことなどから両親の監督責任を否定しました。
この判決で老女の過失割合15%と既往症の減額20%が適用されましたが、中学生の損害賠償金は合計 約3,120万円になりました。

● 平成17年の横浜地裁判決

54歳の看護師女性が市道を歩行中、無灯火の上、携帯電話を操作していた16歳女子高生に追突され、被害者女性は手足に痺れが残って歩行困難になり職も失った事例。

裁判所は、加害者女性(判決時19歳)に約5,000万円の支払いを命じた。

なお、ここでも加害者の父親の責任は否定されました。

● 平成17年の大阪地裁判決

53歳女性が同僚に声を掛けられてビル敷地の植込みの間から歩道上に出た際に、業務中の男性の自転車と衝突して転倒し、腰椎を骨折、後遺障害併合10級及び腰部脊柱変形の障害を残した事例。

損害として、約808万円を認容。

被害者の女性は、植込みの間から出る際に左右の安全確認をしなかったものとされましたが、特に走ることもなく、公開空地という歩道上で衝突したため、歩行者に過失相殺を認めず、自転車が100%悪いと判断されました。
なお、ここで問題となっている植込みは高さが低く、自転車側に前方不注視がなければ歩行者に気付かないといったことはないとされたための過失判断です。

この判例をもう少しだけ詳しく

自転車事故の損害賠償額が高額なものとなる以上、10%の過失の加算・減算で大変な負担の増減が生じることが分かるでしょう。
自転車事故の適正な過失割合の算定は損害賠償において重要なポイントとなっています。

参考として自転車事故の過失割合以下の各ページを確認しておいてください。
また、相手方への対応等に下記をご参考ください。

あなたが望んでいなくても、相手の対応によっては裁判も必要となるかもしれません。
そのようなリスクがある以上、最悪の場合も想定して自転車事故の損害賠償請求訴訟・裁判で主張・立証すべき要件事実や具体的内容・方法等についても確認しておきましょう。

参考:→ 自転車事故の裁判・訴訟

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高校生による自転車事故の高額賠償例

高校生による自転車事故が増加し、それに伴う高額賠償事例も増えてきています。

以下に事例を簡単に列挙しておきますので、
「自転車事故でもこんなに高額の賠償金を払うことになるんだ。気をつけなくちゃ。」
と、しっかりと認識しておいて下さい。

  • 通学中、歩行者に衝突。被害者には、脊髄損傷による麻痺の後遺障害が残り、賠償金額6,008万円
  • 帰宅途中、街灯のない道で歩行者に衝突し死亡させた。賠償金額3,912万円
  • 道路右側を走行中、対向進行してきた主婦の自転車と接触し、転倒させ、死亡させた。賠償金額2,650万円
  • 帰宅途中、無灯火で歩行者に気付かず衝突、死亡させた。賠償金額1,169万円
  • 帰宅途中、植木の剪定をしていた作業者の脚立に接触、転倒させ、死亡させた。賠償金額685万円

まだまだありますが割愛します。
ここでは、自転車だからと軽く考えないようにすることを肝に銘じておいて下さい。

参考:自転車対歩行者の事故

さて、ここまでいくつかの自転車事故の高額裁判例をみてきました。

これらのことから、過失割合が大きな意味を持つことが分かるのではないでしょうか。
もし、上記の自転車事故裁判例の中で、過失割合が10%でも変われば数十~数百万の差が生じます。
上記裁判例の中で、本当に適正な過失割合の判断がされたか否かは、残念ながら当人にしか分からないことでしょう。
だからこそ、被害者も加害者も事故後にしっかりと証拠保全を行い、事故発生状況の整理をすることが大切になるのです。

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中学生加害者の親の指導・監督責任を認めた判例

● 平成16年京都地裁判決

親の監督義務懈怠を認め、約269万円の支払を加害者の親に命じた事例。

午後11時10分頃に発生した自転車対歩行者の事故で、加害者は当時中学生(14歳)。
この時、加害者は無灯火でライトが故障していました。

この裁判で、裁判所は、次の二点を認定しました。

  • ライトが故障した自転車に乗っている子供を放置し、これが事故の一因となっていること
  • 深夜この自転車に乗って行動することを放置していたこと

以上の状況から、
裁判所:「親としての監督義務を怠っていたものと言える。そして、事故が発生した。親の義務違反は民法709条の不法行為責任に当たる。だから賠償しなさい。」
といった訳です。

この判例の簡単な注意点を確認する(「親の指導・監督責任を認めた例に着目する」に戻る)

● 平成19年東京地裁判決

午後6時40分頃に発生した自転車同士の事故で、加害者は当時中学生(13歳)。
同一方向に先行していたお婆さんの右折中に、加害者が高速度でぶつかった事例です。

本件の高速度は、現場検証による位置関係から割り出され、加えてノーブレーキであったことから問題となりました。
呆れたことに、高速度に加えて無灯火でした。
しかも、ライトは故障ではありません。加害者本人が点けてなかっただけです。

この点が、ライトの故障を放置していた親というポイントを挙げた上記の平成16年京都地裁判決とは異なります。

本判例の注目ポイントは、加害者の親の責任を「親の発言」と「事故後の加害者の対応」から追及したことです。

この判例の簡単な注意点を確認する(「親の指導・監督責任を認めた例に着目する」に戻る)

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被害者の過失の主張・立証に失敗した例

● 平成20年2月29日名古屋地裁判決 自転車同士の衝突事故

これは、交差点では左方車だった加害者が交差点を右折をして逆走状態となった直後、交差点に差し掛かる以前の被害者に気付いて回避行為を取るも運転操作を誤って被害者に衝突し、転倒させて傷害を負わせた事例です。

ここで被害者に目を向けると、被害者は日傘を差して片手運転をし、かつサドルに座った場合に両足がつま先立ちでようやく地面に着くという体格不適合・サイズ不一致の自転車に乗っていました。

訴訟において、加害者側は「被害者の交差点進入時の減速義務違反・前方不注視、傘差しによる回避行為の難、体格不適合による転倒時の被害の拡大等」を主張しました。

裁判所は、被害者の傘差しについて『運転操作に支障を生ずる可能性が高い運転方法』で、体格に適合しない自転車に乗っていることについて『年齢等の属性に鑑みると、安全上の問題があったものと評しうる』としていました。
しかし、結果は「加害者:被害者=100:0」です。

裁判所:「原告の損害が発生するうえで、上記の各点が何らかの寄与をしたものとまで認められない。」
として、加害者の主張を退けたのです。

ちなみに裁判所は、上記の通りの事故発生状況ゆえ本件を交差点での出会い頭の事故ではないとしていました。

この資料を確認しましたが、被害者の損害が発生する上で、被害者の過失要素が明らかに事故発生と損害の拡大に寄与していました。
そうであるのになぜ、このような判決が出たのでしょうか?
実は、加害者は単に被害者の法令違反等を並べて、上記の通りそれが危険な状態ゆえ被害が拡大したのだと主張しただけで、それがどのように被害拡大に寄与したかを明確に指摘・説明していなかったのです。
この結果は「被害者の過失要素が結果にどのような影響を与えたか・どのように作用したか」についての加害者側の指摘・主張が拙く、立証が薄かったために出された判例であると言えます。

迷惑な話ですが、主張・立証が拙かった者がいたために、同様の事例において明白な法令違反を行っていた者の保険会社や弁護士がこの判例を持ち出した挙句、過失を認めないという事態が起きています。

これについては、【・・・】という異議により相手方・保険会社・弁護士の主張を退けることができます。

この判例の簡単な注意点を確認する(自転車事故の過失割合算定のページに戻る)

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