自転車事故の
過失割合

自転車事故の適正な過失割合を算定するためには、事故発生状況の正確な把握と分析、証拠の確保と保持が重要になります。

情報を有効に活用して最適な戦略を練るために過失修正要素を細分化して検討し、クルマとは違う自転車の性質からくる過失要素等の押さえるべきポイントを見落とすことのないようにしましょう。

なお、当事務所は、被害者の不当請求や加害者の不当な責任逃れには、一切協力いたしません。

過失割合算定の武器は「情報」と「戦略」

情報は、事故発生状況などの事実に関することや、法律の規制・損害賠償請求・過失等の知識、相手方に関することや証拠・証言の確保と保持、その他を含みます。

戦略は、事故発生状況の正確な把握と分析に基づき、情報をどのように使い、どのタイミングで出すか、またどのように情報を集めるかなどです。自転車事故の高額な損害賠償事例が増えているからこそ、10%の過失修正でも当事者に大きな影響がでます。そのため、自転車事故の過失割合の大幅な変更を可能とする「過失修正のための分かり易い指摘・主張・説明方法」や「より効果的な表現方法」を知っておくことは大変重要です。

これらをうまく利用して適切な指摘・主張・説明をしそれを活かす手順を踏めば、仮に裁判になっても怖くはありません。証拠・実情・経験則等に基づいた的確な主張であれば、相手方保険会社・弁護士の提示した過失割合の変更が可能となります。

当事務所は自転車事故の裁判経験や業務経験を活かして「過失要素の細分化検討」を行っています。検討項目に沿って「過失ポイント」をつけ、目に見えるカタチで当事者の過失を表します。これによって「的確な指摘・主張・説明」が可能となり、適正な過失割合の算定での示談・和解・合意書作成のお手伝いをしております。

過失要素の細分化検討は、裁判例・判例タイムズ等の事例に当てはまらない場合の異議申立てにも有効な方法です。

過失割合でお悩みの方は、独りで悩まずに当事務所にご相談ください。もちろん、必ず書面作成まで依頼される必要はございません。

自転車事故の加害者になってしまった場合の注意点や、自転車事故の加害者・被害者の嘘への対処法も確認しておきましょう。

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判例は個別の事故事例についての判断

2004年、自転車同士の正面衝突事故において、「相手方の傘差し運転は『重大な過失』にあたる」と主張したところ、日弁連の交通事故法律相談の弁護士複数名、相手方保険会社顧問弁護士などから「それは判例からあり得ない。」とさんざん否定されました。

なるほど、確かに判例タイムズ等では傘差し運転をせいぜい「著しい過失」程度と扱っているようです。しかし、横浜地裁に損害賠償請求訴訟を提起して的確な指摘・主張をしたことで、相手の傘差し運転が「重大な過失」と認定されました。

これは、たとえ判例等があっても、個別の事故状況によって過失の軽重が変わるという一つの具体例です。相手方の「過失要素」の一つ一つに着目して「過失の程度の差」を明確にし、経験則に基づく的確な主張・立証を心がけましょう。

参考:→ 自転車事故の過失修正のポイント:「傘差し運転・片手運転」・「徐行速度 高速度・スピードの出し過ぎの過失」・「2人乗り サドルが高く足が届かない場合

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「見えない過失要素」の証拠確保

相手の不注意といったものも目に見えませんが、事故発生状況からその度合いなど大体のことが分かるものです。しかし、すぐに証拠を押さえないと闇の中に消えていく過失要素もあります。

例えば、「ブレーキの故障」は事故の要因として大きな問題になります。ブレーキが全く効かないのであれば、「そのせいで衝突した」と言えるだけでなく「そんな危ない自転車に乗っている」こと自体も問題となるでしょう。

それでは、「ブレーキの効きが甘い」といった場合には、どうでしょうか? これは、事故直後にその場で確認しなければ、見ただけでは分からないことです。

程度によりますが、この場合も相手方が「それを知りながら自転車に乗る」ということが問題です。そのような自転車に乗っていれば、衝突回避に支障が出ることは容易に理解できることだからです。つまり、「危険であることを承知した上で自転車に乗り、結果として事故を起こした」ということになります。

これが「単なる過失」と言えるのか、という問題です。そして、これを的確に指摘・主張することが必要になります。

上記はあくまでも一例に過ぎません。自転車事故・交通事故の過失を算定する際は、このような「見えない過失要素」を確認することが大切です。

情報・文例販売:→ 目に見えない過失のポイント

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自転車同士の事故の過失割合の算定

自転車同士の事故の場合、「軽車両」同士ということで、基本的には「四輪車対四輪車」の過失割合の算定基準を準用します。

ただし、「自転車同士の出会い頭の事故」の場合には「四輪車対四輪車」の過失割合の算定基準を用いるのが間違いの場合もありますので注意が必要です。

交通事故の過失の算定基準として、主に「民事交通訴訟における過失相殺率の認定基準」(別冊判例タイムズ)、「交通事故損害額算定基準」(青い本)、「民事交通事故訴訟損害賠償額算定基準」(赤い本)が使われています。

以下で、走行中の追突事故を例に、簡単な過失割合の算定方法を説明します。

1.算定基準と同様の事故態様の基本過失割合をあてはめる

走行中の追突事故の場合、「追突された側 対 追突した側 = 0 対 100」となります。追突した側が100%悪いと考える訳です。

2.当事者の過失要素による修正をする

追突された側が不用意な急ブレーキを掛けていたという過失があった場合には、「追突された側 対 追突した側 = 30 対 70」と、大幅に追突された側の過失が加算修正されます。

相手の「過失要素」によって、過失割合が大きく変更されることになります。

過失修正要素には、速度違反や徐行義務違反などの「個別的修正要素」と、著しい過失や重過失といった「一般的修正要素」がありますが、難しく考えずに「道路交通法等法律に違反する行為」や「事故の危険・原因につながる故意・不注意」などと考えておきましょう。

「過失要素」による修正は、適正な過失割合算定をするためには欠かすことができません。また、過失要素があるか否かは、事故発生現場・状況を調査・確認することでより明らかとなります。

クルマとは違う「自転車の性質からくる過失要素」や「すぐに証拠を押さえないと闇の中に消えていく過失要素」もありますので、提示されている過失割合に納得できない方は過失割合に関する書面作成相談をご利用ください。

参考:→ 自転車同士の出会い頭の衝突事故

当事務所は、発生した事故が「自転車事故の裁判例・判例タイムズ等の事例に当てはまらない場合」の過失割合算定方法を確立しています。意外と簡単な方法ですが、だからこそ的確な過失割合異議申立書の作成が可能となります。

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過失とその具体的内容

被害者・加害者を問わず、過失相殺を主張することは悪いことではありません。自転車事故・交通事故当事者の権利の主張です。

ですから、事故発生現場、事故発生状況、実況見分結果、相手の発言等から相手の過失が考えられる場合には、それらをきちんと指摘・主張するようにしましょう。

それでは、過失割合の問題を解決をするための重要なパーツをみていきましょう。

1.過失とは

「一定の結果発生を予見し、回避することが可能であったにも関わらず、その結果発生を回避すべき措置を取らなかったということ」です。

過失は規範的要件ですので、それを基礎づける具体的事実が、民事訴訟においても主張・立証しなければならない要件事実となります。

2.具体的要件事実と義務の具体的内容

具体的な要件事実がどういうものなのかというと、

①加害者に、結果を回避する義務が発生したこと

②加害者が結果回避義務を怠ったこと

の2つになります。これらを自転車事故に当てはめて考えると、

「結果回避義務の発生」は、「運転者が道路を走行する際には、衝突事故など起きないように『ルールを守り』、『安全に運転する』注意義務等が発生している」ということです。

「結果回避義務を怠る」というのは、前方不注視やハンドルブレーキ操作の不適切等の「何らかの過失によって」事故を起こしてしまったことです。

事故を起こしてしまうと、自転車運転者は「結果回避義務を怠った」とほぼ決め付けられてしまいます。

自転車事故で過失割合を判断する際には、「まず」事故類型によって判例タイムズなどの基準を基にして基本過失割合を決定します。つまり、事故類型が同じであれば「とりあえず」一律に同じ判断をするのです。

例えば、センターラインの無い道路で、対向進行してきた相手がセンターを越えてあなたにぶつかってきた場合、判例タイムズの基準から基本過失割合は「あなた:相手=20:80」です。

相手が突然飛び出したために避けきれずに衝突したとしても、一律にあなたに20%の過失ありされます。

これを覆すには、あなたが相手の過失を主張・立証しなければならないのです。この過失割合は「事故類型」によって決め付けられた例と言えるでしょう。

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過失判断基準「合理的平均人」

さて、上記の結果回避義務の具体的内容は、特定された加害者本人の具体的な能力を基準として定立されるもの(いわゆる具体的過失)ではありません。

もしそうだとすると、過失を判断する際に「人それぞれの能力を検討する」ということになってしまいます。

それだと大変になってしまいますので、判例も多数説も「合理的な平均人」を基準として過失を判断する、としています(いわゆる抽象的過失)。

これを簡単に言うと、「普通の人だったらすぐに分かるでしょ!」というところでしょうか。

例えば、ある者が片手運転をしていて衝突事故を起こした場合を考えてみましょう。

この時、誰もが認める人並みはずれた自転車操作技術をある者が身につけていたとします。

そしてこう言うのです。

「俺の運転技術をもってすれば、片手運転でも普通の人よりはるかに安全に運転できる。危険な状態とは言えないんだから過失にはならない。」

もしこれが認められるのであれば、技術さえあれば何でもありになってしまうかもしれません。

だからこそ、一律に「合理的な平均人」を基準として過失を判断するようにしているのです。

このような場合でも「普通の人なら片手運転ではハンドル・ブレーキ操作が適切にできませんよ。それに、あなたが両手で運転していたら衝突を回避できたかもしれないでしょう。だから過失がありますよ。」といえる訳です。「屁理屈を言うな」という訳ですね。

ただ、場合によっては「特殊な事情」も考慮される可能性がありますので、そこは注意が必要です。

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