HOME>自転車事故の過失割合算定サポート

自転車事故の過失割合算定の基本

相手方・保険会社・弁護士の提示する過失割合に納得できない方や揉めている方、最適な異議の仕方を知らないために損をしていませんか?
過失についての異議には重要なポイントがあり、判例タイムズの過失相殺基準を変更することも可能です。
書籍やネット検索からでは分からないポイントを、実務経験豊富な専門家を利用して得ることも検討してみるとよいでしょう。

交通事故裁判においては、事故発生状況の事実認定が行われた後にそれに基づいて過失判断がなされますので、適正な過失割合の算定には事故発生状況の的確な把握・分析・整理を行うことが重要です。
これができていなければ主張・立証に必要かつ十分な証拠等を見極めることができず、その確保・保持も疎かになってしまいます。
クルマとは違う自転車の性質からくる故意・過失要素等の細分化検討を用いて相手方や第三者(専門家・和解斡旋機関や裁判所等)を納得させる的確な指摘・説明等行うために、事故発生状況の的確な把握・分析・整理を心がけましょう。

そうして得た情報を有効活用するために戦略を練り上げることも大切です。
そのためにも過失割合を考える際の基本的な情報を、以下で確認しておきましょう。

※ 相手方保険会社・弁護士による判例タイムズの事故態様別の過失相殺率の押し付けを、無駄な時間を使わず引っくり返す「過失相殺の裏ワザ(要パスワードe-1)

稀に、自転車事故における過失相殺・過失割合について、
加害者:「人間は過ちを犯すものなのだから、そういう当たり前のことを考えた上でものを言えよ。」
などと言ってくる者がいますが、それに対しては、
あなた:「人を殺傷する可能性のある乗り物に乗って公道を走行するのだから、過ちを犯さないよう細心の注意を払うのが当たり前でしょう。」
ときっぱりと言ってあげましょう。

ページ内容

  1. 過失算定の武器は「情報」と「戦略」
  2. 平成20年2月29日名古屋地裁判決 自転車同士の事故
  3. 過失とその具体的内容
  4. 過失判断基準の「合理的平均人」
  5. 判例の過失割合判断の変更は可能
  6. 自転車同士の事故の過失割合の基本的な算定手順
  7. 自転車事故の過失要素と過失修正
  8. 著しい過失と重大な過失
  9. 自転車事故の過失要素とその修正値
  10. 過失の程度の差を考えることの重要性「傘差し運転・片手運転」
  11. 過失要素の細分化検討と必要性
  12. 過失修正の基本的な検討要素
  13. 目に見えない過失要素の証拠確保
  14. 視力・視野狭窄等の眼に関する問題
  15. 自転車の徐行速度
  16. 高速度・スピードの出し過ぎ
  17. ヘッドホン・イヤホン・耳あて使用
  18. 二人乗り
  19. サイズ不一致・体格不適合
  20. 過失割合変更事例
  21. 自転車事故同士の出会い頭の事故
  22. 自転車同士の正面衝突事故
  23. 自転車事故対歩行者の事故

過失割合算定の武器は「情報」と「戦略」

  • 情報は、事故発生状況(事故発生前~発生時~発生後)に関する事実関係等、法律の規制・損害賠償請求・過失等の知識、相手方に関することや証拠・証言の収集・確保と保持、その他を含みます。
  • 戦略は、事故発生状況の的確な把握・分析・整理をした上でどのように情報を集め、情報をどのように使い、どのタイミングで出すかなどです。

自転車事故の高額な損害賠償事例が増えているからこそ10%の過失修正でもに大きな影響がでます。
過失割合の変更を可能とするためにも下記を念頭に置いてしっかりと戦略を練り上げてください。

  1. 事故発生状況の的確な把握・分析・整理を行った上で(これが最も重要)、
  2. 客観的・主観的・状況等の証拠、実情、経験則等を根拠として、
  3. 第三者にも分かり易く、事故発生状況に即した的確な指摘・主張・説明・異議等の「方法」を練り上げ、
  4. より効果的な表現を用いる

これらの有効な活用方法を知っていれば、仮に裁判になっても怖くはありません。
逆に、それらができずに相手の過失要素をただ単に並べ立てるだけ(最近の弁護士に特に多い)では、相手の明らかな過失要素さえ過失として認定されずに全てが無駄になりかねませんので注意が必要です(下記事例参照)。

※ 相手方保険会社・弁護士による判例タイムズの事故態様別の過失相殺率の押し付けを、無駄な時間を使わず引っくり返す「過失相殺の裏ワザ(要パスワードe-1)

ページトップ

平成20年2月29日名古屋地裁判決 自転車同士の事故

まずはこの判例を確認する(判例のページに戻る)

相手方の法令違反等の過失要素を挙げて、
加害者側:「被害者には~の義務があったのにこれを遵守していなかった。危険行為だ。だから被害者には過失がある。○%の過失の修正がなされて然るべきだ。」
などと、相手の義務違反を並べるだけでは裁判長から「立証が薄い」と言われてしまいます。

事故発生状況を把握したら、後は「被害者自身の過失要素が損害結果にどのような影響を与えたか・どのように作用したか」を根拠をもって説明することが大切です。

なぜこんなことが言えるのか?

それは同様の事故態様で「本判例を用いて過失がないと主張した相手方と徹底抗戦した過失割合変更事例:8および9」と「その他の早期解決事例」等の経験があるからです。

裁判では「相手の過失のせいで事故に遭って怪我をしたから金払え」と言った方が、「事故があったこと」・「相手の過失のせい」・「怪我したこと」・「その金額」等を主張・立証しなければなりません。
被害者は、これらについて実況見分調書・事故発生状況調査報告書等や病院の領収証等によって立証することになります。
本判例において、加害者は自らの責任もあることを認めた上で、
加害者側:「被害者の過失で被害が拡大してるんです。」
として過失相殺を主張したので、加害者はこの部分に注力してそれを立証しなければなりませんでした。

本件において、裁判所は傘差し運転やサイズ不一致・体格不適合車運転等の過失要素が被害者にもあったことを認定した上で、それが事故の発生と損害の拡大に寄与したか否かについて判断をすることにしました。
また、裁判所は本件を「交差点での出会い頭の事故ではない」としていました。
加害者が交差点右折後に交差点進入以前の被害者と衝突した事故、つまり「対向進行する自転車同士の衝突事故」と認定していたのです。

そうであれば、1.【・・・】(要パスワードk-1)という指摘ができたはずです。
被害者が体格不適合車に乗っていたことが転倒と傷害に「どのように、どういう影響を及ぼしたのか」について、2.【・・・】(要パスワードk-1)を明確に指摘するだけでよかったのです。
本判例の加害者はこれをしていなかったのです。

上記の過失割合変更事例はこれらを明確に指摘したに過ぎませんから、やり方さえ知っていれば誰でも過失を認めさせることができるということです。

発生状況を的確に把握・分析・整理することは、事故に限らず暴行・傷害・いじめ等の事件においても有効です。参考:歩行者同士の接触を原因とする暴行傷害事件
交通事故・自転車事故においては、項目に沿って過失ポイントをつけるなどして目に見えるカタチで当事者の過失を表すと、算定と相手方への説明が容易になります。
交通事故の当事者は、示談等の際に相手方(被害者・加害者)に対して明確な根拠をもって主張・説明・指摘等を行えるように、事故直後から事故発生状況を的確に把握・分析・整理し、仮に裁判に至った場合でもそれらを証拠として利用できるようにしておきましょう。

当事務所が行う過失修正要素の細分化検討結果に関しては、過失割合算定書サンプルに、別途算定意見書等の付属書類を添付しています。

ページトップ

過失とその具体的内容

被害者・加害者を問わず過失相殺を主張することは悪いことではありません。
自転車事故・交通事故当事者の権利の主張ですから、事故発生状況や相手の発言等から相手方の過失が考えられる場合にはそれらに対してきちんと異議・指摘・主張等するようにしましょう。

それでは、過失割合の問題を解決をするための重要なパーツをみていきましょう。

  1. 過失とは
    「一定の結果発生を予見し、回避することが可能であったにも関わらず、その結果発生を回避すべき措置を取らなかったということ」です。
    過失は規範的要件ですので、それを基礎づける具体的事実が、民事訴訟においても主張・立証しなければならない要件事実となります。
  2. 具体的要件事実と義務の具体的内容
    具体的な要件事実がどういうものなのかというと、
    1. 加害者に、結果を回避する義務が発生したこと
    2. 加害者が結果回避義務を怠ったこと

    の2つになります。

これらを自転車事故に当てはめて考えると、

  • 結果回避義務の発生は、
    「運転者が道路を走行する際には、衝突事故など起きないようにルールを守って安全に運転する注意義務等が発生している」ということです。
  • 「結果回避義務を怠る」というのは、
    「前方不注視やハンドルブレーキ操作の不適切等の何らかの過失によって事故を起こしてしまった」ということです。

つまり、交通事故に遭ってしまうと自転車運転者は「結果回避義務を怠っていた」のだとほぼ決め付けられてしまうということです。
たとえあなたが交通ルール・法令等を遵守していて実際は相手にぶつけられただけだったとしてもです。
そのため、過失相殺基準における基本過失割合のほとんどは、双方に過失がある状態から始まっているのです。

自転車事故で過失割合を判断する際には、事故類型によって判例タイムズなどの基準にあてはめ、まず基本過失割合を決定します。
つまり、事故類型が同じであれば、とりあえず一律に同じ基本過失割合が出てくることになります。

例えば、自転車同士の正面衝突事故が起きたとしましょう。
センターラインの無い道路で、対向進行してきた相手がセンターを越えてあなたにぶつかってきた場合、判例タイムズの基準にあてはめると基本過失割合は「あなた:相手=20:80」です。
相手がすれ違う直前に突然飛び出したために避けきれずに衝突したとしても、一律にあなたに20%の過失ありとされます。
これはまさに事故類型によって決め付けられた例であると言えるでしょう。

そして、これを覆すにはあなたが相手の過失を主張・立証しなければならないのです。
もしこの例で相手方が大怪我をした場合には、一方的にぶつけられただけのあなたの負担は増すばかりということになります。

だからこそ、しっかりとポイントを見極めなくてはならないのです。

ページトップ

過失判断基準「合理的平均人」

加害者の結果回避義務の具体的内容は、特定された加害者本人の具体的な能力を基準として定立されるもの(いわゆる具体的過失)ではありません
過失を判断する際に「人それぞれの能力を検討する」となると大変になってしまうので、判例も多数説も「合理的な平均人」を基準として過失を判断するとしています(いわゆる抽象的過失)。
これを簡単に言うと、「普通の人だったらすぐに分かるでしょ!」といったところでしょうか。

例えば、誰もが認める人並みはずれた自転車操作技術を身につけていたある者が片手運転をしていて、あなたと衝突事故を起こした場合を考えてみましょう。
そしてこう言うのです。
ある者:「俺の運転技術をもってすれば、片手運転でも普通の人よりはるかに安全に運転できる。危険な状態とは言えないんだから俺の片手運転は過失にはならない。だから過失相殺なんてされるいわれはない。」

もしこれが認められるのであれば、技術さえあれば何でもありになってしまうかもしれません。
だからこそ、一律に「合理的な平均人」を基準として過失を判断するようにしているのです。
つまり、このような場合でも
あなた:「普通の人なら片手運転ではハンドル・ブレーキ操作が適切にできませんよ。それに、あなたが両手で運転していたら衝突を回避できたかもしれないでしょう。だから過失がありますよ。」
と言える訳です。
「屁理屈を言うな」という訳ですね。

ただ、場合によっては「特殊な事情」も考慮される可能性がありますので、そこは注意が必要です。

ページトップ

判例の過失割合判断の変更は可能

相手方保険会社や弁護士の決まり文句に、よく「こういう判例がありますから。」というのがあります。
確かに判例があると、それを覆すのは大変な作業となります。
しかし判例は、あくまでもその時に訴訟の対象となった個別の事故事例についての判断です。

そのため、あなたが事故発生状況を的確に把握・分析・整理をして、相手の故意・過失要素を細分化して検討し、証拠・実情・経験則等に基づいた的確な異議・指摘・主張・立証ができれば、判例の過失判断も変更することが可能となる場合があります。

たとえば、自転車同士の正面衝突事故において、
「加害者の傘差し運転は、本件衝突事故において重大な過失にあたる」
と主張しましたが、日弁連の交通事故法律相談の弁護士複数名、相手方保険会社顧問弁護士などから、
大勢の方たち:「それは判例からあり得ない。」
とさんざん否定されました。

なるほど、確かに判例タイムズ等では、傘差し運転等の片手運転を、せいぜい著しい過失程度と扱っているようです。
しかし、事故直後から最悪の場合を想定して事故発生状況等整理していたこともあって、横浜地裁での損害賠償請求訴訟において的確な指摘・主張を行い、相手の傘差し運転が重大な過失と認定された上で和解成立となりました。

このことは、たとえ判例や判例タイムズの基準等があっても、個別の事故発生状況によって過失の軽重が変わるという一つの具体例です。

相手方の過失要素の一つ一つに着目して過失の程度の差を明確にし(後述)、証拠・経験則等に基づく的確な主張・立証ができるように準備しておきましょう。

当事務所が行う過失修正要素の細分化検討結果に関しては、過失割合算定書サンプルに、別途算定意見書等の付属書類を添付しています。

ページトップ

自転車同士の事故の過失割合の基本的な算定手順

自転車同士の事故の場合、軽車両同士ということで基本的には四輪車対四輪車の過失割合の算定基準を準用します。
しかし、四輪車対四輪車の過失割合の算定基準を用いるのが明らかに間違いの場合もありますので注意が必要です。
例えば、十字路・T字路・丁字路などの交差点における自転車同士の出会い頭の事故の場合がそうです。

さて、交通事故・自転車事故の過失割合の算定・過失相殺率の認定基準としては、主に以下の三つが使われています。

  • 民事交通訴訟における過失相殺率の認定基準(別冊判例タイムズ)
  • 交通事故損害額算定基準(青い本)
  • 民事交通事故訴訟損害賠償額算定基準(赤い本)

以下で走行中の追突事故を例に、簡単な過失割合の算定方法を説明します。

  1. 算定基準と同様の事故態様の基本過失割合をあてはめる
    走行中の追突事故の場合、「追突された側 対 追突した側 = 0 対 100」となります。
    つまり、基本的に追突した側が100%悪いと考える訳です。
  2. 当事者の過失要素による修正をする
    それでは、追突された側が走行中に不用意な急ブレーキを掛けるなどしていた場合にはどうなるのでしょうか?
    この場合には、不用意な急ブレーキが追突された側の過失要素となり、
    「追突された側 対 追突した側 = 30 対 70」と、大幅に追突された側の過失が加算修正されます。

このように、相手の過失要素によって過失割合が大きく変更されます。
過失修正要素には、速度違反や徐行義務違反などの「個別的修正要素」と、著しい過失や重過失といった「一般的修正要素」がありますが、難しく考えずに「道路交通法等法令に違反する行為」や「事故の危険・原因につながる故意・不注意」などと考えておきましょう。

過失要素による修正は、適正な過失割合算定をするためには欠かすことができません。
過失要素があるか否かは、事故発生現場・状況を調査・確認することでより明らかにすることができます。
クルマとは違う「自転車の性質からくる過失要素」や「すぐに証拠を押さえないと闇の中に消えていく過失要素」もありますので、相手方やその保険会社・弁護士から提示されている過失割合に納得できない方は、事故発生状況等を的確に把握するためにしっかりと見直しましょう。

当事務所が行う過失修正要素の細分化検討結果に関しては、過失割合算定書サンプルに、別途算定意見書等の付属書類を添付しています。

ページトップ

自転車事故の過失修正

自転車事故・交通事故において過失割合・過失相殺が問題となっている場合には、相手方の過失要素を的確に指摘して明確な根拠をもって過失の修正を主張することができなければ大きな損失を被ります。
ですから、被害者・加害者を問わず、事件・事故発生状況を的確に把握・分析・整理して過失としっかり向き合うことが大切です。

以下で自転車事故の過失要素とその修正に必要なパーツを見ていきましょう。

ページトップ

著しい過失と重大な過失

著しい過失や重大な過失といった一般的過失修正要素は主張立証が大変なので、その違いをしっかりとみておきましょう。

  • 著しい過失
    通常想定されている程度を超えるような過失のことです。
  • 重大な過失
    最高裁判例によれば、
    「通常人に要求される程度の相当な注意をしないでも、わずかの注意さえすれば、たやすく違法有害な結果を予見することができた場合であるのに、漫然これを見過ごしたような、ほとんど故意に近い著しい注意欠如の状態を指すものと解するのを相当とする」
    とされています。
    これを簡単にいうと「ほんの少し注意をすれば簡単に結果が分かるのに、それすらしないこと」といったところでしょうか。

    ちなみに一般的な民事上の重大な過失の意味は「一般人に要求される注意義務を著しく欠いた場合のこと」です。

これらを踏まえて、加害者の過失がいずれであるか、またそれに近い場合と言えるかなどを考慮しながら異議・指摘・主張していくことになります。
その際はできるだけ分かり易いカタチにして、相手方のみならず第三者が見ても「なるほど」と思われるような工夫をすることが大切です。

加害者や相手方弁護士・保険会社は常に損害賠償額を低く抑えようと画策します。
重大な過失や著しい過失をないものとしたり、単純な過失だと平気で主張し、加害者の過失割合を低く抑えて算定した損害額を提示してくるので細心の注意が必要になります。

相手方に誤魔化されないようにするためには、自転車事故の過失要素や過失修正、相手方の過失の指摘・主張の方法等しっかりと理解しておく必要があります。

ページトップ

自転車事故の過失要素とその修正値

自転車事故における過失要素と、その修正値に関して主なものを以下に列挙します。
なお、過失の修正が問題になるのは、それが事故発生原因や被害の拡大等について相当因果関係がある場合に限りますので注意が必要です。
損害発生に無関係の事由は当然のことながら考慮しません。

また、過失要素の修正値は事故発生状況等によって大きく変化します。
以下はあくまでも目安となるもので、これが絶対という訳ではありません。

過失修正値に幅があるのは、個別の事故において当事者の過失の程度に差が生じるからです。
過失の程度に関しては、過失修正要素の細分化検討によるランク分けを行うことで明確にできます(後述)。
これによって相手方・保険会社の提示した過失割合に対して的確な指摘・主張等が可能になりますので必要に応じてご相談ください。
下記の修正値において最大値になるような場合は、いくつかの過失要素が重複した場合や程度が著しい場合などとお考えください。

● 自転車事故の過失要素とその修正値

以上で全てではありませんが、これらについて考慮するようにしましょう。

当事務所が行う過失修正要素の細分化検討結果に関しては、過失割合算定書サンプルに、別途算定意見書等の付属書類を添付しています。

ページトップ

過失の程度の差を考えることの重要性
「傘差し運転・片手運転」

自転車同士の衝突事故で一方が傘差し運転をしていた場合、過失は何%加算されることになるでしょうか?

実は私自身が「過失10%加算しか認めない」と強硬に主張する加害者側保険会社の顧問弁護士と揉めたことがあります。

弁護士:「加害者の傘差しによる片手運転は安全運転注意義務違反の過失にあたり、これをもって加害者の片手運転の過失は評価され尽くしているから、せいぜい著しい過失にとどまるのが相当である。」
と横浜地裁での損害賠償請求事件において答弁書でもこの主張を展開しました。

本当に「片手運転の過失 = 傘差し運転の過失」で加害者の過失が評価され尽しているのでしょうか?

答えは「否」です。
評価され尽くしていません。
保険会社・弁護士の言い分は、傘差し運転を安全運転注意義務に違反する行為という一事として片付けており、過失の程度の差を全く考えていないものです。

傘差し運転の方が、通常の片手運転よりバランスが悪くなることは明白です。
運転者は雨に濡れない様にすることにも気を取られますし、傘で視界も制限される。
加えて雨風が強ければ、それはもう通常の片手運転とは比べものにならないくらい正常なハンドル操作が困難でしょう。
これらを運転者本人も十分に理解しているはずです。
そういった事実を無視して、単純に「片手運転の過失 = 傘差し運転の過失」としたのではいい加減過ぎます。

後述しますが、地形・場所・意識などの要素をしっかりと検討する必要があるのです。
これらを複合的に考えて過失の程度を明確にしなければ、相手方の本当の過失は判りません。
過失要素を細分化して検討することで、被害者がなすべき主張・立証も明確になってきますし、単なる過失・著しい過失・重大な過失などの判断にも大きな影響を与えるものになります。

● 保険会社の傘差し運転の過失の取扱い

保険会社では、傘差し運転を単純な過失と取り扱うことがほとんどです。
被害者が頑張って主張・立証しても、過失の程度の差を明確にできなければ、著しい過失と認められればいい方です。
何故かというと、クルマの場合のハンドルやブレーキ操作の不適切が著しい過失の具体的例として挙げられているからです。
つまり、傘差しによる片手運転は、ハンドルやブレーキ操作の不適切であり、著しい過失にとどまると言ってくる訳です。

これを理由として、これまで多くの保険会社が傘差し運転を単純な過失、よくて著しい過失としか判断しませんでした。
保険会社:「自転車だからクルマのハンドルやブレーキ操作の不適切ほど危険ではない。」
として、「傘差し運転 = 単純な過失」で済ますケースが現在も多いようです。

しかしこれは、はっきり言って間違いです。
その理由の一つは、単純な片手運転でもハンドル・ブレーキ操作の不適切に当たるからです。
片手運転だと、ハンドル・ブレーキを適切に操作することができないことは、子供にだって分かります。
相手方は「ハンドル・ブレーキを適切に操作することができないことを知りながら、片手運転をしてあえて危険な状態を作り出している」訳です。

前述したように、傘差し運転は、通常の片手運転よりも適切なハンドル・ブレーキ操作をより困難にすることは明白です。
同じ片手運転でも、過失の程度に差が生じているのですから、この点をしっかりと主張・立証していくことになります。

損害賠償請求においては、ある行為が過失として認められた場合とそうでない場合では大きな差が生じます。
だからこそ、過失の指摘・主張ポイントを知ることが大切なのです。

なお、自転車事故において傘差し運転・片手運転が問題となる場合、ある過失要素とのコンボで確実に過失が加算されます。
これについては、自転車同士の正面衝突事故実例における事実確認マニュアル:自転車同士の正面衝突事故編:傘差し運転の過失を加算するポイントの章で解説しています。

ページトップ

過失要素の細分化検討と必要性

自転車事故で揉めてしまって裁判所のご厄介になった場合には、被害者が加害者の不法行為責任について主張・立証しなければなりません。
その際には相手方の過失を完璧に立証する必要はありません。
裁判長に「なるほど、確かにそうかもしれないな。」といった心証を持ってもらえれば、相手方の過失を認めてもらえる可能性があります。

● 自由心証主義

民事訴訟法第247条:
裁判所は、判決をするに当たり、口頭弁論の全趣旨及び証拠調べの結果をしん酌して、自由な心証により、事実についての主張を真実と認めるべきか否かを判断する。

稀に、被害者や加害者が相手方保険会社・弁護士から提示された過失割合に対して異議申立をした際に、
相手方保険会社・弁護士:「あなたがそれを事実だと主張するのなら、『合理的な疑いを差し挟む余地のない程度の立証』か『合理的な疑いを超える証明』が必要ですよ。」
などと言ってくる者がいますが、民事訴訟の場合の必要な証明の程度は、刑事訴訟よりも緩やかな基準になっています。

● 昭和50年10月24日最高裁判決「必要な証明の程度」

訴訟上の因果関係の立証は、一点の疑義も許されない自然科学的証明ではなく、経験則に照らして全証拠を総合検討し、特定の事実が特定の結果発生を招来した関係を是認しうる高度の蓋然性を持ちうるものであることを必要とし、かつ、それで足りるものである。

最悪の場合を想定して早い段階から訴訟にも対応できるようにしておくべきです。
相手があまりに不誠実で平気で嘘を吐く輩の場合には、それが誰であろうと徹底抗戦する覚悟を持たなければなりません。
自身のみならず、大切な家族のためにもです。

さて、著しい過失や重過失といった一般的過失修正要素は通常予定されているものですから、それを考慮して過失相殺を行うのは当然のことです。
過失の加算要素を相手方や第三者に説明等する際は、しっかりとした根拠を示す方がより効果的です。
そのため、自転車事故の過失要素を事故発生状況・現場等から細分化して個別に検討・調整を繰り返し、さらにランク分けを行って適正な過失修正表等を作成することをおススメします。
相手方の過失が明確となる他、あなた自身の過失に気付くこともできるでしょう。
自身に過失がある場合には「認めるべきところは認め、誠意をもって謝る」ことが大切です。

さて、仮に裁判になった場合、「事故状況等から、当然認めてもらえるだろう。」と考えてしまうかもしれませんがこれが大きな落とし穴なのです。
裁判所が「判決の基礎」とすることができるのは当事者が主張した事実のみであり、当事者が主張しない事実は、たとえ証拠調べの結果、その事実の存否につき裁判所が確信を抱いたとしてもそれを判断基準とすることはできないのです。

それ故、過失修正要素を検討した上で資料を整理して適切な主張・立証をしていくことが大切なのです。
自転車事故において、裁判所がこれまでに自転車や歩行者の過失として「どういう行為を問題視しているのか」、「どのような注意義務違反が重視されているのか」等を予め調べ、それに沿った主張・立証を行うことが重要になります。

ページトップ

過失修正の基本的な検討要素

過失修正をするための基本的な検討要素は、大体12項目ほどに絞られます。

  1. 規則要素
  2. 地形要素
  3. 場所要素
  4. 路面要素
  5. 時間要素
  6. 感覚・身体要素
  7. 行為要素
  8. 意識要素
  9. 年齢要素
  10. 自転車要素
  11. 特殊要素
  12. 天候要素

※ 上記の過失要素の検討項目の中身とその具体例

事故当事者の「感覚・身体要素」については、過失割合の変更に大変重要な要素であるのに、よく見落とされているものです。
場合によっては、行政機関等に対して情報公開請求を行うなどして情報収集をする必要がありますので、専門家に確認・相談するなどしましょう。

上記項目を検討し、項目別に修正根拠等を明確にしながら過失ポイントを計上していくと、同時に二・三要素に引っ掛かる行為の過失ポイントが高くなって過失の程度の差がポイント数というカタチで明確となる訳です。
こうすることで、相手方に対する説明が容易になります。
問題は、どういったものが過失ポイントとなるかについてですが、判例の過失認定資料や、裁判上・裁判外の和解などで得た経験による過失認定資料等を活用することが重要です。

当事務所が行う過失修正要素の細分化検討結果に関しては、過失割合算定書サンプルに、別途算定意見書等の付属書類を添付しています。

ページトップ

目に見えない過失要素の証拠確保

過失には、目に見えるものと見えないものがあります。
見えていても気付き難いものであったりすると、その過失を指摘・主張・立証するのは困難を極めます。
見えないものになると尚更ですから、事故が起きた時にすべき確認事項を知識としてもっておきましょう。

さて、相手の不注意といったものも目に見えませんが、事故発生状況からその度合いなど大体のことが分かるものです。
しかし、すぐに証拠を押さえないと闇の中に消えていく過失要素もあります。
例えば、「ブレーキの故障」は、事故の要因として大きな問題になります。
ブレーキが全く効かないのであれば「そのせいで衝突した」と言えるだけでなく「そんな危ない自転車に乗っている」こと自体も問題となるでしょう。

それでは、「ブレーキの効きが甘い」といった場合には、どうでしょうか?
これは、事故直後にその場で確認しなければ見ただけでは分からないことです。
程度によりますが、この場合も相手方が「それを知りながら自転車に乗る」ということが問題です。
そのような自転車に乗っていれば、衝突回避に支障が出ることは容易に理解できることだからです。
つまり、「危険であることを承知した上で自転車に乗り、結果として事故を起こした」ということになる訳です。

これが「単なる過失」と言えるのか、という問題です。
これを的確に指摘・主張することが必要になります。
「ブレーキの効きが甘い」ということはあくまでも一例に過ぎません。
他にも「見えない過失要素」や「見逃しやすい過失要素」は存在しています。

自転車事故・交通事故の過失を算定する際は、このような「見えない過失要素」に気付くことができるか否かが大変重要です。
以下の「視力・視野狭窄等の眼に関する問題」も確認しておきましょう。

ページトップ

視力・視野狭窄などの眼に関する問題

クルマ・バイクの運転免許取得には十分な視力が必須です。
自転車に免許がないとはいえ、適正な視力が必要であることは言うまでもありません。

それではまず、クルマ等の免許取得要件である視力を見てみましょう。
なお、特に「裸眼」と書いていなければ、眼鏡やコンタクトによる矯正視力も含みます。
以下はいずれも「1または2」であることが必要です。

● 普通免許

  1. 片目でそれぞれ0.3以上、両目で0.7以上見えること
  2. 片目が0.3以下の場合は、他眼の視力が0.7以上で、視野が左右150°以上あること

● 原付、小型特殊

  1. 矯正、または裸眼視力が両眼で0.5以上あること
  2. 片目が見えない場合、他眼の視野が左右150°以上あること

道路交通には上記のような最低限必要な視力が求められています。
「自転車に乗るのに視力なんて関係ない」などとは到底言えることではありません。
自転車は軽車両ですから最低でも原付、小型特殊と同様の視力が必要と考えられます。
これを満たさなければ、自転車に乗ること自体が危険行為となりえます。

視力が低いことは本人自身が一番よく分かっていることです。
その場合に、低視力が一因であるような態様の衝突事故が発生した場合には当然責任が生じると考えられますから、

相手方:「あなたは、自転車運転に支障が出る(前方がよく見えていないなど)低視力でありながら、自転車に乗って公道を走行するという危険な行為をあえて行っていましたね。本件においてはそれが大きな要因の一つですから、あなた自らが招いた結果と言えるんじゃありませんか。」

と、突っ込まれても仕方ありません。
また、低視力が一因となっている場合で、その加害者が未成年者であれば、親の指導・監督義務も問うことができるでしょう。

なお、事故の当事者は、相手方にある程度の視力があっても、それだけで眼の問題を放置してはいけません。
他に気を付けるべきことがあります。
高齢者に多いのですが、眼の病気によって視野狭窄などが起こっている場合があるからです。

緑内障などは、40歳以上の約30人に1人、つまり約220万人の緑内障患者がいるとされています。
緑内障は、眼圧の上昇が原因であると考えられていましたが、実際には、正常眼圧であっても緑内障になるケースが多く、今では緑内障全体の70%以上を正常眼圧緑内障が占めるほどになっています。
正常眼圧緑内障などの症状は、ある程度進行するまで気付かないため、失明の大きな原因となっているほどです。

事故の当事者が目の異常を感じていながら放置していた場合には、明らかに過失があると言わざるを得ません。
視力・視野狭窄などは目に見えません。
だからこそ、事故発生後には必ず確認作業が必要になるのです。

ページトップ

自転車の徐行速度

自転車通行可の歩道上を走行する自転車と歩行者の事故では、よく自転車の徐行義務違反が問題となりますので、問題解決の材料として自転車の徐行速度について知っておきましょう。

裁判所は、クルマの徐行速度について「ブレーキ装置を操作してから1m以内で停止する速度」として大体時速10km以下を目安としています。
しかし、これをそのまま自転車には当てはめるのは間違いです。
自転車の徐行速度についてはいろいろ意見が分かれています。
いくつか例を挙げると、

  • 歩行者の速度と同様に時速4km程度
  • 歩行者の速度から考えて時速7km程度

だとかがあります。

この点、国土交通省のサイト上の参考資料の中に「時速6~8km程度」という記述がありますからこれがもっとも信用できる情報でしょう。
そうであるならば、次の点が問題になるかと思います。
時速6~8km程度の速度で走る自転車がブレーキ装置を操作したら、一体何m以内で停止できるのか?

もちろん、舗装された平坦な道路や坂道、砂利道などの道路状況によって変わってきますが、そこはやはり一般的に考えるべきでしょう。
という訳で、市販されている自転車速度計を利用し、道場の教え子達の協力を得て実験してみました。
もちろん、自転車運転者が「前後輪両方のブレーキをしっかりと掛ける」のが前提条件です。 その結果としては、概ね「ブレーキ装置を操作してからの停止するまでの距離0.3~0.5m以内」といったところでした。
もっとも、これは簡単な実験結果ですので参考までのものです。

実際は、過失要素の細分化検討による場所要素を加えて考えるなど、自転車事故解析等が必要となる場合がありますので注意が必要です。

自転車の徐行義務違反は、徐行すべき場所でそれをしていなかった場合に問題となります。
どういったものが違反とされ、過失を問われるのか?
これは、自転車の徐行義務が課されている場所を考えれば簡単に分かることでしょう。
自転車の徐行速度は「場所」にもよりますが、クルマの1m以内よりも厳しいものであることを知っておきましょう。

なお、自転車事故において徐行が問題となる場合、他にある過失要素があれば確実に過失加算要素になりますので注意が必要です。

ページトップ

高速度・スピードの出し過ぎ

自転車事故において相手方の速度を立証することは容易ではありません。
自転車事故の解析を徹底的にやる場合に特に重要となるポイントは7つありますが、これに関しては数学・物理等の知識も必要になります。
「クルマと自転車の事故」・「クルマと歩行者の事故」で衝突地点を推定する際に用いることが多いので、ここでは割愛します。

自転車事故の高速度・スピードの出し過ぎが問題の場合、とりあえず簡単にできる下記を確認しておきましょう。

  1. 事故直前にコンビニなどの防犯カメラに映っていないか
  2. ブレーキ痕が残っていないか
  3. 目撃者に証言してもらえないか

そういった証拠がある場合でなければ、相手方の「スピードの出し過ぎ・高速度走行」を主張・指摘して立証するのは困難を極めます。
しかし不可能ではありません。
むしろ、相手がスピードの出し過ぎ・高速度走行を認めないことが被害者にとってありがたい場合もあります。

自転車同士・自転車対歩行者の事故の相手方がスピードの出し過ぎ・高速度走行を認めない場合には、あなたがある確認の仕方(要パスワードe-2)さえ知っていれば、逆に相手方から有利な情報を引き出すことができます。
交通事故、とりわけ自転車事故の専門家であればこの方法を知っているでしょうから、相談・依頼されている専門家等に教えてもらってください。
これだけであなたの負担が減ります。

ページトップ

ヘッドホン・イヤホン・耳あて使用

自転車事故においてイヤホン・ヘッドホン等使用中であった相手方にそれによる過失を指摘した場合、下記のような主張をする者がいます。
ヘッドホン等使用者:「ヘッドホンをしていたけど音量を小さくして周りの音が聞こえるように気を付けてたし、実際に聞こえていたからヘッドホンの使用は過失にはならないよ。」

聞こえているのであれば、ヘッドホン等使用していても問題ないように思われます。
しかし、事故発生状況から事故原因に少なからず影響を与えている場合には、このような言い逃れはなかなかできませんのでヘッドホン等の使用者は注意が必要です。

例えば、事故態様が出会い頭で事故発生現場が高い塀などで全く相手方を見通すことができない場所であれば、聴覚の重要性が当然増すことになります。
ヘッドホン・イヤホン等によって耳を塞げば、それをしない場合に比べて周囲の音が聞こえ辛くなるのが通常です。
そして、判例・通説の過失認識の判断基準は「合理的平均人」ですから、
あなた:「ヘッドホン・イヤホン等をしていなければもっとよく聞こえていたはずでしょう。そうであったならば、いち早く私に気づいて回避措置が取ることができたんじゃないですか?」
と突っ込めるという訳です。

自転車同士の衝突事故でヘッドホン・イヤホン等の使用が問題となった損害賠償請求事件において、ある保険会社の弁護士が過失割合提示の際に以下のように主張しました。
弁護士:「自転車運転者がイヤホン等使用していても、周囲の音の聞こえ辛さに関しては密室といえるクルマの運転者とほとんど変わらない。クルマでは音の聞こえ辛さはさほど問題とされないのだから、自転車事故においてヘッドホン・イヤホン等使用の過失相殺を主張するのは行き過ぎたものである。」

この弁護士の主張は、逆にこちらに有利に働くことになりました。
なぜなら、クルマと自転車の違いを無視したものだったからです。
そんな主張は【・・・】(要パスワードe-3)と言うだけで簡単に退けることができます。

● イヤホン・ヘッドホン使用がほぼ確実に過失として加算される場合

見通しの悪い道路では、警音器を鳴らして相手方に注意を促す標識のある場所があります。
このような場所で、相手方がイヤホン・ヘッドホン使用していて衝突した場合に問題となります。

警音器吹鳴義務の標識は、山間部に多いのですが、ロードレーサーなどでサイクリング中などに問題とされる場合があります。
また、たとえ標識がなくても、安全運転注意義務を考えた場合に鳴らすべきであったと裁判所に判断される場合もあります。
条例によってイヤホン・ヘッドホン使用が禁止されている地域もありますから、その場合には、当然に法令違反としての安全運転注意義務違反が問われることになりますので注意が必要です。

ページトップ

二人乗り

二人乗りが原因で事故が起きた場合の加害者の過失について、
あなた:「二人乗りは危ない行為だから、加害者に過失があります。」
と言うのでは、ちょっと弱い感じがします。
ですから、しっかりと指摘・主張の仕方も検討する必要があります。
以下で、簡単に二人乗りの過失について考えてみましょう。

二人乗りをすると積載重量を超えている場合も含めて走行が不安定になる。
ハンドル操作が困難な場合もある。

こんなことは、通常の理解力を有する者であれば容易に理解できる。

そうであるのに加害者は故意に二人乗りをして危険な状態を作り出した。

過失の判断基準は合理的平均人だ。

このような危険な状態で道路を走行すれば、適切な回避行為が行えずに衝突の危険性が高くなることは合理的平均人は容易に理解できる。

加害者はそういった危険を知りながら、あえてその危険な状態で走行し続けた挙句、ハンドル操作を誤って被害者に衝突して傷害を負わせた。

以上の理由から、加害者の過失は○○な過失として○○%の過失相殺がなされるのが相当である。

以上のように「判例から、過失は合理的平均人を基準として判断すべきであるから、~となる。」のようなカタチで相手方の過失を指摘するようにするとよいでしょう。
なお、上記はあくまでも簡単なものですから、実際の事故発生状況によってその取扱い等しっかりと確認するようご注意ください。

※ 上記以外の「自転車の二人乗り」における危険性の指摘方法「二人乗りによる危険性証明の手引き

ページトップ

サイズ不一致・体格不適合

自転車事故の過失の中に、サドルが高くて地に足が届かない場合などサイズ不一致・体格不適合の自転車運転による(裁判所が過失判断理由としてよく挙げる)不安定走行があります。
サドルが高い自転車で代表的なものといえばロードレーサー等でしょう。
街でもよく見かけますが、サドルが高く地に両足が届かないであろう者がほとんどです。

もちろん、それに乗っていること自体にケチをつけているのではありません。
「サドルが高い = 過失がある」と言っているのではなく、その状態で事故に遭うと「原因と結果に因果関係があればマイナス要因とされてしまう場合がある」と言っているのです。
なぜなら、サドルが高く地に足が届かない自転車に乗っていて事故にあった者の不安定さを問題視して過失を認定している判例があるからです。

もちろん、損害発生・拡大という結果とサイズ不一致・体格不適合との間の因果関係の有無が問題となります。
因果関係がなければ特に問題にはなりませんが、ある場合にはその状態で事故を起こしてしまうとなかなか言い逃れができませんので注意が必要です。

ところで、サイズ不一致・体格不適合の自転車運転を過失と判断する理由として、裁判所が多く挙げているのが、
裁判所:「走行の不安定性、つまり、安定走行だったのであれば事故の発生やその結果・損害の拡大などを回避できた可能性が高いといえる。」
というものです。

そんなの言いがかりだ!」という方もいるでしょう。
実際、「確かにそうですね。」と言えるような裁判所の過失判断があります。

● 平成19年3月5日東京地裁判決

赤信号により双方が一度停止し、青信号になってから被害者男性(タクシー運転手)が横断して加害者の横をすれ違おうとしたところ、加害者男性がよろけたためにX地点で接触し、被害者が信号機の鉄柱に顔をぶつけたという「交差点付近の歩道上での自転車同士のすれ違い様の接触事故」の事例で、発生状況を簡単な図にすると下記のようになります。
なお、双方とも他に特に問題となる過失はありませんでした。

交差点付近の歩道上での自転車同士のすれ違い様の衝突事故

この事故は、停車していた加害者が急にバランスを崩してよろけなかったならば起きませんでした。
この事故発生状況において裁判所が過失割合をどう判断したかというと、被害者:加害者=40:60です。
「・・・??? これは一体どういうことなのか?」
と思われたでしょう。
裁判所の過失判断の理由は下記の流れでした。

  1. 加害者がよろけなかったら、被害者は怪我をしなかった
  2. 加害者に責任あり
  3. でも、本来自転車は車道通行だ
  4. 接触事故の起きた歩道の状況(加害者が停車中・信号の鉄柱)から考えると、被害者が通る幅が狭かった
  5. 被害者は加害者とギリギリですれ違うことは容易に認識できた
  6. 被害者が両足が地につかない高さのサドルの自転車に乗っていたという不安定性も考えてみた
  7. 損害は公平に分担しないとね
  8. そうだ、4割減額しよう

「・・・ええ~っ!? サドルの高さはあまり関係ないんじゃないですか?」
と思われた方がいるでしょうが、その通り。この発生状況だと無関係といえますが、上記が裁判所の判断です。

このように、サドルが高くて地に足が届かない場合などの自転車運転者の身体とのサイズ不一致・体格不適合による自転車運転の不安定性は被害者にとっても大きな問題となりますので注意が必要です。

さて、自転車乗りの方から下記のご意見が寄せられます。
「サドルが高くて地に足が届かない場合でも、ある一定の速度で走行していれば不安定走行にはならない。むしろ速度を抑えることが危ないんだ。」
確かにその通りです。
しかしそれは、道路交通においてよくある条件・状況下では絶対に言ってはいけないことです。
これを言うと、逆に過失が大きくなる場合がある(要パスワードs-1)ので注意が必要です。

サイズ不一致・体格不適合の自転車運転による過失は、ある状況・状態(要パスワードs-1)において問題となります(因果関係は必要)。
これを分かっていないと言いがかりになってしまいますので、その点をしっかりと説明できる専門家に相談するように気を付けてください。

自転車同士の事故の高額賠償裁判例に戻る

ページトップ

過失割合変更事例

下記は過失割合変更事例の一部です。

  1. 自転車同士・正面衝突事故: 加害者対被害者=70対30 → 100対0
  2. 自転車同士・正面衝突事故: 加害者対被害者(依頼者)=50対50 → 90対10
  3. 自転車同士・追突事故: 加害者(依頼者)対被害者=100対0 → 50対50
  4. 自転車同士・T字路交差点の出会い頭の衝突事故: 加害者対被害者(依頼者)=20対80 → 50対50
  5. バイク同士・追突事故: 加害者(依頼者)対被害者=100対0 → 70対30
  6. 自転車対歩行者・歩行者飛び出し衝突: 加害者対被害者(依頼者)=70対30 → 85対15
  7. 自転車同士・交差点出会い頭衝突事故: 加害者対被害者(依頼者)=20対80 → 70対30
  8. 自転車同士・交差点の出会い頭の衝突事故:
    示談代行の被害者側保険会社が、本判例を基にして加害者に全額請求をしてきた事例。
    加害者が当事務所作成の事故発生状況調査報告書に基づいて過失相殺を主張して徹底抗戦し、「加害者対被害者=70対30」で裁判上の和解が成立。
  9. 自転車同士・交差点の出会い頭の衝突事故:
    加害者から事故発生状況調査報告書作成相談を受けて書面作成指導とポイントを解説。
    後に相手方被害者が提訴し、一審で過失割合「加害者対被害者=100対0」で加害者敗訴。
    加害者からの要望で、加害者側弁護士から当事務所に協力要請があり、検証・証言による協力。
    二審で過失割合「加害者対被害者=50対50」で和解成立。
  10. 自転車同士・十字路交差点の出会い頭の衝突事故
    保険会社提示の「被害者対加害者(依頼者)=60対40」に納得できないと、事故発生状況調査報告書および異議申立書作成依頼。
    異議申立により、→「被害者対加害者(依頼者)=80対20」に変更。
    しかし、異議申立は「被害者対加害者(依頼者)=100対0」として行ったものであった。
    納得できなかった加害者本人が、調停を選択。
    当事務所は、事故発生状況について証人として協力。
    裁判長の和解勧告にて「被害者対加害者(依頼者)=100対0」で和解成立。
  11. 自転車同士・対向進行中の軽い接触事故: 加害者対被害者=100対0 → 70対30

相手方の過失要素を、①突っ込む手順・ポイントを練って、②的確に説明・主張することができれば、実際にこのように変更される場合があります。

ページトップ