発刊によせて

  地域に根ざした文学を提唱してより、
 約三十年が経過した。
  埼玉県東部地区は、幾つもの野川が流
 れていて水と戦い、水と協調しながら豊かな歴史と文化を培い、地域創造を進めてきた。その文化素材に新しい視点を加え、まちづくりの未来像を模索し展開してきたことになろう。
 心の時代といわれる二十一世紀。真理の探究を忘却することは許されない。
 地域には独自の光を放つ作家や詩人たちが多い中で、彼らの文学世界の紹介を目的に始めた埼東文化会の活動は、今も多くの人々の心を捉え続けているに違いない。
  しかし最近の動向は如何であろうか。教育者や文学者たちの精神風土の貧しさは、まさに真理への探究心すら失われたようだ。
 ここに小さな力ではあるが、文学の可能性を信じる仲間十一名が集い、「埼東文学」誌の発刊に取り組むことになった。
 地域の先導者が開いた〈いのちのきらめく未来〉を受け継ぐために。

   初茜未来図に海鳴りを聴く     染谷 洌   (主 宰)

                                 Saitobungaku